今、おじさんがカワイイ!
「おじさんってかわいくない?」
「絶対カワイイって〜♡」
先日おみやげ屋さんに行ったところこのような世も末の声が聞こえてきた。
声の主は、おそらく10代。おじさんもなめられたもんだ。なめられて嬉しいおじさんもいるかもしれないがもはや違う意味になってしまうだろう。
もしかすると、おじさんモチーフのキャラグッズに黄色い声を上げていたのかもしれないが・・・
「(簡単に金を巻き上げることができてちょろい)おじさんカワイイ♡」
と言っているとしたら恐ろしく、山形牛の芋煮パックと米沢牛の芋煮パックが喧嘩をしている棚越しに覗き見る勇気もなく、私はそそくさとその場から逃げ去った。
最近、若い女の子の中では何にでも「カワイイ♡」という文化があるので「やばい」とか「すごい」とかその類の言葉として使われていただけかもしれない。
なお、ここにおいて「カワイイ」は故意で使っている。さらに言えば「cawaii」の方が良いかもしれないが、彼女たちの「カワイイ」は我々の「可愛い」とは次元が違うのだ。そのため、カタカナで次元の違いを表している。
とはいえ・・・
「おじさんってかわいくない?」
「絶対カワイイって〜♡」
の効果は抜群だ。
人類の中で男性が約半数で、その中のおじさん(彼女らからしたら30歳以上と推定)だとしたら、人類の1/4くらいがおじさんであり、彼女らにとって「かわいい」存在になるのだ。
そういえば最近「おっさんレンタル」というものが流行っているらしい。
「おっさんレンタル」で検索したら出てきたのがこれ。
イケてると勘違いしているおっさんを1時間1000円からレンタル予約できるサービスです。雑談から内緒話(笑)、パシりまで、おっさんがあなたのニーズにお応えします。お客様が利益を得る事、お客様が幸せにならない依頼はお断りしています(^^)
この自虐的な紹介文、大好きだ。なお、これは変なサービスではない。どうやら審査があるようで、活動している人は、何でも屋さんから、いわゆる偉い人レベルまでいるという。
以前私は、この記事を読んで興味を持った。
ストーカー被害に遭っていた漫画家さんが、コミケでの売り子(店番みたいなこと)をおっさんレンタルのおじさんにお願いし、久しぶりに心から安心してコミケを楽しめたという話だ。
「おっさんレンタル」という如何わしい名前からは想像できない心温まる素敵なエピソードだ。(この漫画家さんの構成スキルが高いからというのもあるが)
「チャットワーク」という健全なアプリを夜のお仕事アプリだと勘違いしていた私にとっては衝撃的な展開だった。
ちなみにその便利なアプリは私は乱用している。ライター仲間の多くもこれを愛用しているので信頼できる。
最近、デリヘルを呼んでも当のサービスを注文することなく、「とにかく膝枕をしてもらって頭を撫でてもらいながら話を聞いてほしい」という人もいるらしい。
みんな、疲れているんだよな。そして、私も疲れた。私も綺麗でぷにぷにしたお姉さんに、膝枕をしてもらって頭を撫でてもらいながら話を聞いてほしい。
もっと深刻な人や孤独な人はこの方のように本物に行き着くのかもしれないが、私は一人っ子で一人が好きであり、旦那と二人暮らしをしているからここまで行きつかないのだろう。
そして、最近気づいたことなんだが、私はおじさんが好きらしい。おじさんが好きというよりは、「あんな風になりたい」と思う憧れの対象が、ほぼおじさんなのだ。
芸能人で上げるのであれば、タモリや、クレイジーケンバンドの横山剣だ。
以前もこんな記事も書いている。なお、私自身も28歳でおばさんなので、歳が近い人も「おじさん」にさせてもらっている。
好きというと語弊があるので「支持している」「憧れている」にしておくが、私が支持しているおじさんのタイプは・・・「自分を持っていて、自由を謳歌しており、ややテキトーそうに見えるのだが自分の役割や仕事に関しては素晴らしく人当たりは良いが、綺麗ごとは言わず、笑いながら毒を吐く」タイプだ。これは一貫している。
なぜ私がおじさんを支持しているのかというと、おそらく自分が、
・どうでも良い昼のワイドショーみたいな雰囲気に疲れる
・不用意に干渉してくる人が苦手
・老舗や伝統に安心感を持つ
・しっかりとした背景がないと信用できない
・無関係なことや頼んでいないことはほっといてほしい
・酸いも甘いも経験している人が落ち着く
・サイコパスや依存体質に標的にされやすい
・集団行動に疲れる
・自分は男性脳らしい
・教祖みたいな人や新興宗教的な雰囲気が苦手
・感動や共感や笑顔や元気や会話やプレゼントを強要されたくない
・他人が考える幸せを押し付けられたくない
・一人が好きで、一人ご飯も好き
・「好きにしておいで!」という父親的な存在に安心する
・合理的な努力や工夫をしてきた人を尊敬する
・好きなことを極めている人に憧れる
・嘘で塗り固めた人は信用できない
・欠点や欠陥がないように取り繕う人に恐怖を覚える
・根性論で片付けるようなような人は苦手
・ドラマに出てくる姑的に管理されるとやる気をなくす
・自分を大きく見せようとするのに嫌気がする
・人間味や生活感がなさすぎると人間に思えなくなる
そんなタイプだからだろう。おじさんが良いというよりは、この私の感覚をクリアする人が、おじさんに多いというだけだ。
それになぜか、おじさんとは相性が良い。もちろん相性が悪いおじさんもいるが、相対的にはおじさんと相性が良い。
だから大学時代に「アニータ」なんてあだ名を名付けられたのかもしれないが。考えてみれば、特に何もしていないのに、小学生の頃からおじさん先生からは気に入られるタイプであった。変な意味ではなく。
一方私は昔から、女性らしい女性ばかりの職場やコミュニティーは苦手で、キワモノ扱いされやすい。特に攻撃されなくてもなぜか疲れやすい。きっとみんなと同じに従わないから浮くのだろう。キワモノになるからいじめられもしないのだが。
ある意味、そうやって生き抜いてきたから今の私がいる。子供時代、生徒会やら部長やらをやってきたが、優秀だったからではなく、集団行動よりも別ポジションにいる方が楽だったのだ。
仕事やメリットがあるなら従うが、何もないなら従いたくはない。先々考えて嫌々従うこともあるのだが、とにかく疲れが尋常ではない。アルバイトや部活にサークル、仕事において女性の集団に身を置くこともあったが大概神経をすり減らして体調が悪くなった。
居やすい女性集団もいるのだが、大概、合理的な男性脳の人か、良い意味でおじさんっぽさがあったり、不用意に干渉してこない一匹狼タイプの人々だ。もしくは女神のような包容力があるタイプか、ラテン系で多種多様が当然だと思うタイプの人々だ。
もしかすると、最近の日本には私みたいなタイプが増えているのかもしれない。まさに私は「ゆとり世代」だ。なりたくてなったわけでもないのに勝手にされて言われて迷惑な上に、ゆとりがあったのは洋服くらいである。ただ、なんとなくうるさいことや干渉されることに疲れやすい。
だから、おっさんレンタルが流行るのかもしれない。「おっさん」というと飄々とした人のようなイメージがあるから惹かれるのだろう。最近では寅さんの再ブームだというし、皆、そういう方向を求めているのだ。
おばさんでも私の好みタイプにあてはまる人もたくさんいると思うが、「おばさんレンタル」だとなんとなくイメージで小煩い姑みたいな人が出てくるような気がするから、これは流行らないだろう。「おかんレンタル」とか「おばはんレンタル」となればもしかすると流行るかもしれない。
個人的には「オネエレンタル」や「オカマレンタル」を作ってほしい。脳内のオネエおよびオカマに愚痴を聞いて励ましてもらってストレス発散するということを聞いたことがあるが私もよくする。
男でも女でもない存在だから、人として付き合えるのが本当に良い。素直に話を聞ける自分がいる。
おそらくそのように感じる人が増えたからここ数年、新宿2丁目に一般人が増えたわけだし、マツコデラックスが人気なのだろう。もうなんだか疲れたのだ。業界も職種も全く違うが、二丁目勤務だった頃が懐かしい。
「今、おじさんがカワイイ!」
そして・・・「今、オカマバーに行きたい!」
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